DOUGA BRANDING SENKA

第4回|動画発注前の準備と制作会社選びのコツ

2021.01.31

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『失敗しない動画づくりの秘訣』
動画のプロが、皆さんの不安を払拭します!

動画づくりが部門内で持ち上がった…
君が担当になって動画をつくってほしい…

オンラインビジネスが普及し始め、俄かに動画が脚光を浴びてきました。

ところが動画づくりに不慣れなビジネスパーソンも多く、
失敗は許されない….どんな業者に発注したらいいのか?
皆さん不安がつきまといます。
そんな皆さんの不安を払拭し、
失敗しない企業の動画づくりの心得と事前の準備を、
動画づくりのプロが、わかりやすく丁寧にお教えします。

業者への『発注前のチェックリスト』として、ぜひご活用ください!

心得01|動画をつくる『目的』を明確にする

◎つくる目的は明確に

動画をつくる動機は社内や部署内でアバウトには決まっていても、
お客様からは事実上ノープランでご相談いただいたり、事前準備はほとんど無し、
初めて担当になるので、何をどうしたらいいのか…?
また一度社内で作ったが、出来が良くなく失敗したため、そのリカバーの担当者になった日には、
それはもう、大きなプレッシャーを背負うことにもなります。

実はこのようなシチュエーションで弊社へお声がけをいただくことは、特に珍しいことではありません。

ただそのような場合でも、弊社では深掘りのインサイトを探り当てるヒアリングで、
しっかり要件定義を重ねていくため、つくる動機から動画制作目的の道筋が開けて行くのです。

さはさりながら、
企業としては一定の投資なので、何らかの成果、つまりリターンを期待するわけですので、
とりあえず作ればいい、あればいい、作りっぱなし…などといったことは、避けたいもの。
むしろ昨今のこの厳しい市場環境や競合状況、
オンライン化をはじめとする、ビジネス環境の大きなパラダイムの転換からして
これらのことが、許されろうはずがありません。

◎よくある動画づくりの動機や目的

では一旦ここで、よくある動画づくりの動機をご紹介しておきます。
ここではまだ漠然とした状況を列記しておきます。(メディア広告は除く)

動機・目的 曖昧な動機・目的
営業活動・商談・集客 YouTubeで公開したい
商談上で活かせないか
展示会で使いたい
企業広報 企業サイトに埋め込み広報活動に活かしたい
周年記念・創業記念で活かす
株主総会やIR広報に活かす
会社や工場見学向け
採用活動 採用Webセミナー、オンライン企業説明会向け
採用サイトに埋め込み、採用広報に活かす
事業紹介 ビジネス・事業説明会で活かす
代理店・取扱店向けの説明会で活かす
インタビュー 顧客インタビューを取引事例集として紹介
メーカーや金融保険の開発者インタビュー
ブランド 製品ブランドの広報ビデオを作りたい
製品やサービスのリブランドをした
学校・学園 生徒募集の広報活動に使いたい
社内広報 CIを刷新したため
新入社員教育のため
新製品のマニュアルビデオ

ざっとこのような感じでしょうか。
この目的や動機に中に、御社のケースは当てはまりましたでしょうか?
曖昧でもこの辺までの動機や狙いは持っておかれるとよいでしょう。

心得02|動画を使うシーンを明確に!

◎動画をどこで使うのか?

実はこの使うシーンについては、きちんと事前設定をしておくべきです。
なぜなら、その動画にどのような役目を持たせるか?ということから、動画の作り方が大きく異なってくるからです。
昨今では動画の使い方が多様化し、その構成、尺、コンテンツ、キャスティング、編集方法、その他スペックが大きく異なってきます。

もちろん、例えば企業広報動画のように、企業の全体像を総花的に紹介することが目的の場合、
戦略性や展開スキーム等はほとんど考慮せずともいけると思いますが、
以下のケースだと、事前に要件定義しておかないと、単に正式版の編集や短縮版でカバーできるとは限りません。

◎マルチな使用シーンも事前想定しておく

以下で1本の動画を、複合的に活用する例を挙げてみます。

『商談席上で視聴することに合わせ、コンテンツマーケティングの過程でも活かしたい。』

『展示会ブースでのキャッチーな存在にすると同時に、YouTube動画として編集し、特定キーワードで検索上位にヒットさせたい。』

『採用セミナー動画をオンライン企業説明会向けに長尺で制作し、
その部分編集版を採用サイトに組込み、エモーショナル性も発揮したい。』

この3例は多目的な要求を備える構成やシナリオが求められ、作った後に様々要求をしても、
なかなか動画を最適化しづらく、効果も限定的です。
事前にしっかりと定義しておきましょう。

しかしながら、このようなマルチユースな動画の使い方は、昨今では非常に多くなりました。
つまり社内である程度、意見集約をして、どのような動画づかいが希望か?
できれば部門間を超えた調整も大事でしょう。

◎「動画をWebで展開する」より、それで何をしたいか?

前述のように動画をWebに組込むことを、当初より大まかに決めている場合、
業者はそこから先のプロセスを想定し、動画を最適化するイメージを持つことできます。
またシナリオ・構成の段階から、事前に撮影・編集でチューニングをかけることも想定できます。

ところが、「とにかく作った動画をWebに組み込みたい」だけでは、動画完成後、うまくフィットしない、
ミスマッチを起こした…など不本意、不満足になるリスクを秘めています。
動画業者には、動画+Webで何をしたいかときちんと伝えましょう。

心得03|動画をサンプリングしよう

◎目指すイメージの動画・好みの動画を集めよう

この動画サンプリングはとても重要です。
特に初めて社内に動画制作担当になる、社内で初めて作るという場合、
競合他社、同業社の動画
ベンチマークした目指すタイプの動画
さらに業種や好み以外、特定しないランダムな選択
様々な視点や価値基準で動画をコレクションしてみましょう。

この中から、自社が目指す動画の、一定の方向性が見えてくることがあります。

◎ベンチマークして業者に提示する

ここでサンプリングしコレクションした複数の動画を、
ベンチマーク動画として、以降で発生する、業者との交渉時に提示します。
それにより、業者は一定程度、御社の意図やプロジェクトのアウトラインを掴み、
撮影・編集など制作に必要な要件がイメージできるものです。
その際に、プロの映像マンとして、助言・アドバイスをしてくれる業者もいますので、
これはぜひ実行したいものです。

心得04|動画の大まかなスペック感を持っておく

動画のスペックとは、
撮影や編集のテクニカル要因、動画の尺、キャスティング要因、ナレーション等、
中でも尺はきちんと想定しておくべきです。

30秒、1分、2分、3分、10分、30分、1時間…
その用途や目的の属性によって、必要な尺、つまり時間は大きく異なります。
これはコストにも大きく影響しますので、一定のガイドラインを持ちましょう。
企業や学校動画で3〜10分程度、製品・サービス動画で1分〜3分、
採用動画で2〜3分、採用Webセミナー動画で15分〜30分、
というのが一般的な目安です。

心得05|出演者や協力者を決めておく

ほとんどの動画で出演者が登場することとなるでしょう。
そのため事前にどういう目的で、どのように登場してもらうのか?
それが何人に及び、それぞれがどういう役割を果たすのか?
従って、その動画の構想をある程度持っておく必要があるし、
アバウトな構成やコンセプトを決めておく必要もあります。

社内であれば、事前にその趣旨をオリエンし、コンセンサスを取っておく。
また外部の人物へのインタビューやコメンテーターをお願いする場合、
やはり事前に大まかな撮影日程や構想を伝え、ある程度の内諾をとっておくことが必要です。

とは言え、この時点でここまで事前準備ができているのは決して多くはなく、
業者決定後に、業者からその指示を受けて、慌てて調整、アサインして回る、というのが一般的です。

実はその場合ちょっとした落とし穴もあります。
下のバナーの、プロの映像マンブログは参考になりますヨ。

心得06|業者に求める要件を決める

この項目は少々業界的、専門的な視点での心得です。
それでも後述の候補社への業者オリエンには、発注社として詰めておきたい要件ですので、
はやりきちんと確認事項としたいものです。
従って、この表を元に実際の業者との交渉時に、この要件について投げて、逆に業者からレクチャーを受けるのも一手です。
その後の制作段階で、知識として活かすことができれば、
発注社、主催者として業者に言われっぱなしになることを防止できるでしょう。

ここでは、
「企画・クリエイティブの要件」と、「撮影・編集に求める要件」とに分け、
簡潔に表にまとめてみました。

◎企画・クリエイティブの要件

項目 詳細内容
企画・構成 オリエンとヒアリングから要件定義し、それに沿った動画の企画・構成内容のプランニングをするのか?
提案・プレゼン プランニングした企画・構成内容を提案・プレゼンする機会を設定するか?
取材・インタビュー 動画コンテンツ、シナリオ作成のための取材やヒアリング、また必要に応じてインタビューをするか?
シナリオライティング
絵コンテ作成
取材・ヒアリングやインタビューから、シナリオを作成、合わせて動画の絵コンテを提示できるか?
タイポデザイン
素材デザイン
意外と動画制作会社全般に弱いクリエイティブ領域
制作サンプルなどでチェックしておき、必要に応じてデザイナーの存在も確認

この中で、動画の最初のクリエイティブとして、「シナリオライティング・絵コンテ作成」があります。
とても重要なフェーズですが、ここでは言及しないため、
プロの映像マンブログをご覧になってみてください。とても参考になります。

◎撮影・編集に求める要件

概ね以下の順で撮影、編集が進んでいきます。
これらのタスクや作業項目が動画制作会社に求められる要件と言えます。

項目 詳細内容
香盤表(撮影スケジュール) 動画制作の上流から下流の納品・引渡しまでの香盤表を作成し、共有・更新をしてくれるか?
役者・モデル・ナレーター・スタイリストのキャスティング 要件発生時にオーディションからキャスティングまで対応可能か?
撮影機材・編集機材 要件の適合した撮影機材、MA機材が完備されているか?
ロケハン・リハーサル 本番撮影前に、撮影ロケハンをする
香盤表に沿ってリハーサルをする
特に出演者のしゃべり、動作のリハーサルについて
演技指導・発声指導の必要性
撮影【本番】 香盤表に沿った本番撮影について
美術 スタジオ撮影での背景や道具類の手配・準備
ナレーション収録 キャスティングしたナレーターによる収録、そのスタジオ手配
音楽・効果 仕上がった映像にBGM、ナレーション、効果を加えたMA・編集
著作権フリーBGM、、テロップ挿入
オリジナル楽曲の創作手配
試写 試写の設定、そのフィードバックによる直しの回数
編集版 レギュラー版に編集を加え、希望の運用向けに複数の短縮版の編集対応
納品・データ引渡し ブルーレイ、DVDのメディア保存での引渡し、指定のデータ形式での納品対応
完成動画のWebエンベッド 自社のWebに組込む作業ができるか?
LPなどのサイトと一体的に動画を制作してくれるか?
YouTubeへの投稿に対応できるか?

このMA・編集の段階で、動画プロデューサーや編集クルーに求められる要件の一つに、効果的なテロップ挿入があります。
実は動画では非常に重要なワザなのです。
視聴者やユーザーが理解をし、共感へ導くことが動画の最大のミッション。
ところが、出演者の滑舌の良し悪し、専門・業界用語の羅列となった時に、
視聴者やユーザーが意味不明?理解できない?では本末転倒。

そこをリカバーする助っ人となるのがテロップなんです。
こちらの映像のプロが語るブログで、面白おかしく説明しているので、参照されてください。

心得07|納期を決める

◎意外に多いタスク、かかる時間

結構多いのが、弊社へご相談をもちかけられて、
1ヶ月後にほしい、
2週間で作って欲しい、
など無茶な短納期オファーも、結構よく遭遇します。
ただし、静止画像をつなぎ合わせたパッチワーク動画であれば、2日もあればできてしまいますが…
ヒアリング・企画してシナリオ・コンテ書いて、出演キャストとの日程調整、香盤表(撮影・制作スケジュール)引いて、ロケハンし、撮影して、ナレーション収録して、編集し、お客様レビューを何度と繰り返し…
やはり無理でしょう。
そこにナレーターやキャストのオーディションを含めたり、アニメーション編集、撮影にドローンを含めたりすればなおさらです。

◎尺に関係なく納期は余裕が大事

たとえ1〜2分の尺でも尺に関係なく、これらのタスクが満載になれば、
実に2〜3ヶ月はアッという間に過ぎてしまいます。

オファーの時点でそのような話をすると、皆さんビックリされますが、
この時点で意識転換をしておいてください。

その品質やこだわり、尺にもよりますが、簡易的な動画で2週間〜1ヶ月、
正式版や本格版の動画では2〜4ヶ月の期間はしっかりと余裕をもって!

そうでないと、無理を通せば道理が引っ込む、思わぬ不本意な結果につながるリスクを負います。

やります、大丈夫です、と言っている制作会社に限って、
その制作会社の社中は、やはり無理を押しての制作作業となるため、決していい結果にはなりません。
どうぞ、お気をつけあれ。

心得08|社内プロジェクトチームをつくる

プロジェクトチーム

◎チームで臨もう!

上席から「君がやってくれ」とか、何と「社長直々に指示があった」としても、
一人で動画づくりの担当になるのは、あまりにも負荷は大きい。
たとえ過去、動画づくりに慣れていたとしても、社長や上席からの指示事項であれば、
それは尋常ではありませんね。

そこでどういう事情であれ、一人の仕事は限界があり、
広報、広告宣伝、マーケティング部門の方であればまだしも、本来の通常業務をこなしつつ、
このプロジェクトに携わるのは、どう考えても無理があり過ぎます。

そこで弊社ではプロジェクトチーム(PT)を編成することを推奨します。

動画目的が単一部門内完結であれば、部門内の方々で。
複数部門にまたがる用途がある場合は、各部門に声掛けをしてメンバーを募る、

様々な意見や知恵、アイデアが集約でき、強い相乗効果を期待できます。
制作会社にオファーをかける前には、ぜひ結成しておいてください。

◎キーマンを入れたい

この手の事案でよくあるのが、若手中心でPTを組んだ場合、
その中でリーダーを張れる人材が不在で、決められない、ダッチロールをする、
などと言ったことに陥ることです。
これでは一向に事が進まず、我々制作会社は閉口することもしばしば。

またプレ本番時点で、上席や役員レビューがスムーズに行けばいいのですが、
結構多いのが、直し要求の本意が若手PTに伝わらず、堂々巡りになり、
いたずらに時間を経過することは、特に珍しいことではありません。

ここで強い助っ人になるのが、その辺の調整上手な方、
役員や上席との相性の良い方、(なかなか簡単な言葉では言い表せませんが…)
つまり『キーマン』となる方がPTに、或いは、オブザーバーでもいいので、参加することは大事です。

心得09|前任者に聞いてみよう

もし既に社内に動画が存在している、もしくは作ったことがある場合、その動画づくりに関わったメンバーがわかれば、
ぜひその時の話やエピソードを聞いてみましょう。役立つありがたい情報や作るコツを、思わぬところで入手できるかもしれません。
また社内の他部署で動画を作っていることもあります。
調べてみて、もしその事実がわかったら、その部署の作った担当者に話を聞いてみることも、賢い事前の情報収集になります。

心得10|著作権の知識も持っておこう

◎そもそも動画の著作権とは?

動画・映像を制作した場合、原則その著作権の帰属は制作会社です。
従って、契約して委託制作費を支払って購買したので、全権を譲り受けた、と思ったら、あにはからんや!
その時点では発注者はその著作物の利用権を手に入れたにすぎません。
業者が著作権を放棄、乃至は譲渡しない限り、動画コンテンツの著作権は業者に帰属します。

ただし業者によって、案件によってその限りでないこともありますので、
自社の意向も伝えつつ、業者との折衝段階で確認し合うことをオススメします。

◎利用範囲を決めそれぞれに最適化

さらに個人の肖像権や背景の著作物の写り込み、またBGMの著作権については、
事前に業者と確認しておきます。
またYouTubeなどの動画プラットフォームやWebサイトでの公開の意図も業者に伝えておき、
著作権侵害にならないように備えておくことも重要です。

心得11|予算を決める・決裁をとる

◎標準的な制作費はリサーチしておきたい

事前にある程度の動画制作予算を決めておきます。
その予算の決め方は、あくまで一般的な標準制作費がわかる努力をすべきです。
これは上からな言い回しですが、
何が何でも低価格でやるのか、標準レベルでやるのか、
高品質で付加価値を求め、かかる費用は覚悟、というのか?

その動画市場の一般的な標準価格帯はリサーチしておきましょう。

◎低価格・高品質の要求はムリ!

我々制作会社が困るのは、
高品質な動画を、とことん安い料金でつくりたい、
という、失礼ながらとてもワガママな要求です。

動画をはじめとして、各種の広告・広報制作物は、お客様の要求と弊社の個別提案による、
まさにオンリーワンプロダクツです。
低価格・高品質を求めるのは大量生産の汎用品の概念、デフレ概念です。

もちろん弊社にも低価格プランはありますが、スペックや制作工数は見合った建値にしています。
だったらそれは低品質か?
そういう価値観ではなく、弊社では適正価格という概念です。

◎社内決裁をとっておく

役員や上席の指示とは言え、免許皆伝ではありませんので、ある程度つくる動画の方向性が決まったら、
概算でも社内稟申で決裁をとっておく、
もしくは可能であればスペック別の制作費ガイドラインについて、
役員・上席プレゼンでコンセンサスをとっておきたいものです。

お墨付きさえもらえれば、のびのびと動画づくりに臨めるものです。

チョット耳寄り

業者選定後、オリエン・交渉段階で、きちんと自社の予算枠を伝えることは、大事なことです。
業者はそれ受け、自社の基準建値で積算し、見積額がその予算を超えるのか?十分枠内でいけるのか?を提示できるからです。
超えた場合、業者は仕様を絞ったり、発注社に要件を妥協してもらったりで、予算に合わせることはあるでしょう。
また発注社は予算積み増しをする、というのは、競合他社が予算に合わせてきた場合には、困難を来すでしょう。
ただ一方で、業者オリエンでは敢えて予算を伝えず、希望要件で見積を提出させる、というのも一策です。そこから発注社は業者への値交渉や仕様変更に対応することになる可能性があります。
余談ですが、例えば業者が3社だった場合、各社は同様の仕様や要件で建値を弾いているにもかかわらず、その3社の見積額は、三者三様、意外と驚くほどの差になることがあります。念のため。

心得12|業者選定のガイドラインを持つ

◎まず候補業者を物色する

さていよいよ動画制作業者を選ぶフェーズです。

これまで事前準備として万端に取り組んできました。
ここからは自社に相性のいい、自社の要求を最適に満たしてくれる、といった業者を探し当てるフェーズに入ります。

業者選びは概ね4つの方法があります。

選定方法 詳細 効果
1 Web検索で選ぶ 「動画 ○○」「企業動画 ○○」等のキーワードで検索し、その検索結果から候補社をあたる、業者探しのスタンダード。 Googleが検索キーワードに適した業者を上位表示させるので、業者サイトを見て客観的に比較対照できる。
2 業者を紹介してもらう 関連会社や取引業者への紹介依頼。また動画制作会社を紹介するエージェントへの依頼。(有料・無料の両方あり) 前者はコネが絡むため信頼はできるが、必ずしも質は問えない。後者は多数の登録業者から選定できるため、目的要件で幅広く業者を選べる。
3 既存業者 これまで取引している動画会社への依頼。 これまでの品質は保てるが、それ以上の品質を求める、大きく刷新したいことには向かない。
4 動画年鑑などの業者紹介誌を参照する 動画年鑑、書籍や雑誌で紹介されている動画会社をピックアップしオファーする。 第三者のメディア紹介なので、比較的信頼に値する。ただ記事広告の場合は要注意。

昨今ではこれらが一般的です。これらの中から自社に合った方法、または複数の方法を併用すると、
より自社の求める要件に適合した動画会社が見つけやすくなります。良いでしょう。


◎候補業者のスペックを審査する

以上の物色結果から、第一次候補社をピックアップします。
まず最低限、その候補社のWebサイトをチェックしましょう。
そこで、ホワイトペーパーや資料請求が準備されていれば申請しましょう。
そのWebサイトでのチェック事項は以下の通りです。

Webサイトでのチェック事項
1 自社オウンドメディアの品質【サイト構成、主張・制作ポリシー、デザイン・コンテンツ品質、ユーザビリティ、制作実績の豊富さ、ブランドイメージ、表現のトーンアンドマナー】が水準以上に保たれているか?
2 制作費体系が掲載されており、希望の要件でのコストガイドラインがわかる
3 自社の制作組織体制、制作クルー紹介、アライアンス体制紹介
4 制作実績の仕上りクオリティ、業種特化型かマルチ業種型か
5 動画メディア専門の制作会社、動画含む総合メディア型の制作会社、広告エージェント
6 ホワイトペーパーや資料請求が完備されている
7 動画撮影・制作の香盤表、制作フローが明示されている
8 動画制作のポリシー、自社の特徴をきちんと語っている
9 取引実績が列記され、取引社数が掲載されている
10 企業情報が丁寧に記載されている【会社概要・代表者メッセージ・社員紹介・組織・沿革】
11 撮影機材、編集機材等のハードウェア、編集テクニカルの紹介
12 取引条件や個人情報のポリシーが明記されているか?
13 動画著作権のポリシーが明記されているか?

ここまでチェックすると、ほぼ候補社の全容をチェックできます。ぜひご利用ください。
弊社では「この一冊で動画づくりの全てがわかる」というタイトルのホワイトペーパーをオススメしています。

◎候補業者を複数社選考する

審査が完了したら、自社に要件に合いそうな複数社を選考しましょう。
制作バジェットや動画規模にもよりますが、2社〜5社程度までが適数です。
これ以上増やしても、実際のオリエン・提案というフェーズに過剰に時間を費やすだけになるし、
ご担当者、PTの方々も負担が大きくなります。
実際に交渉を進めるのは、弊社では経験上、2〜3社が最適と考えますが、
業者辞退というのもあるため、多めに補欠まで選定しておくとよいと思います。

チョット耳寄り

余談ですが、「8〜10社呼んでいる」といった企業のご担当者に何度か遭遇したことがありますが、率直に言って非常に無駄なことをていると言わざるを得ません。
恐らくご担当者は、業者選定の方法がわからないため、手当たり次第業者を当たっていたのでしょう。もしそういう懸念があれば、ぜひ当記事を参考にしてください。
また一方で、上長から「なるべくたくさん呼んで、安い業者を当たれ。」と言われたメッセンジャー的ご担当者もいました。
まあ企業の価値観なので、弊社でそこを揶揄するつもりはありませんが、呼ばれた業者はほとんどが当てゴマという、なんともイヤハヤ、という感じです。

◎業者オリエンの準備をする

第一次候補業者のオリエン準備をします。
この記事の『心得01〜11』について、発注元企業としてある程度の方針を決めておくことです。
この中で、
心得01〜05、07、09がオリエンでの自社の要求アジェンダです。
また心得06|業者に求める要件を決める、は業者オリエンの機会に業者への確認事項、
さらに心得11でそのオリエンに参加してもらう候補社を選定する要件、
心得12で業者の最終決定をするチェック項目です。

業者オリエンのためのチェック事項
心得01 動画をつくる『目的』を明確にする

  • つくる目的は明確に
  • よくある動画づくりの動機・目的
心得02 動画を使うシーンを明確に!

  • 動画をどこで使うのか?
  • マルチな使用シーンも事前想定しておく
  • 「動画をWebで展開する」より、それで何をしたいか?
心得03 動画をサンプリングしよう

  • 目指すイメージの動画・好みの動画を集めよう
  • ベンチマークして業者に提示する
心得04 動画の大まかなスペック感を持っておく
心得05 出演者や協力者を決めておく
心得06 業者に求める要件を決める

  • 企画・クリエイティブのあり方と体制
  • 撮影・編集に求める要件
心得07 納期を決める

  • 意外に多いタスク、かかる時間
  • 尺に関係なく納期は余裕が大事
心得08 社内プロジェクトチームをつくる

  • チームで臨もう!
  • キーマンを入れたい
心得09 著作権の知識も持っておこう

  • そもそも動画の著作権とは?
  • 利用範囲を決めそれぞれに最適化
心得10 予算を決める・決裁をとる

  • 標準的な制作費はリサーチしておきたい
  • 低価格・高品質の要求はムリ!
  • 社内決裁をとっておく
心得11 業者選定のガイドラインを持つ

  • まず候補業者を物色する
  • 候補業者のスペックを審査する
  • 候補業者を複数社で選考する
  • 業者オリエンの準備をする
心得12 発注業者決定!

  • 業務委託契約・NDA
    業者の与信
  • 候補業者のスペックを審査する
  • 候補業者を複数社で選考する
  • 業者オリエンの準備をする

◎業者オリエンを開催する

業者を決定するプロセスの最終段階の業者オリエンです。
前項のリストに沿って手前は準備万端、
業者オリエンをセッティングして、業者1社ごと、セッションの機会を設けます。
候補社全社一斉に行う集合オリエンというのもありますが、
総花的で一方通行になり、事務的説明会の様相があり、あまりオススメはしません。

業者の自己紹介

まずは何と言っても、参加した候補社の自社紹介からはじめます。
時間制限をしておき、その方法は自由が好都合、会社案内やホワイトペーパーを使ったり、
動画制作会社だけに自社動画で紹介、というのもいいでしょう。

自社の動画制作プロジェクトを説明

次に、前述の「業者オリエンのためのチェック事項」の表に基づき、まずは粛々とオリエンを行いましょう。
最初に「自社の企業紹介」からスタート、その後動画計画のオリエンへ進みます。

業者のヒアリング

一通りオリエンが終了したら、業者へボールを渡し、質疑応答、ヒアリングの時間を設けます。
ここで業者はプロジェクトのアウトラインを捉え、企画・提案内容、見積算定の基礎情報を得ます。

◎業者の提案・プレゼンを実施する

オリエンを終えた後、参加各業者には動画制作プロジェクトのプレゼンを行ってもらいます。
その際見積書も提示させます。
これは任意ですが、その見積に松竹梅があると、視野が広がります。

心得13|発注業者決定!

◎業者の絞込みと最終の詰め

各社プレゼンが終了したら、自社の計画に最も適合した業者に絞り込み、必要に応じて再プレゼン、再見積ということも視野に置きます。
もちろんこの時点で発注業者を最終決定することもありでしょう。

審査の眼は主観や感情に流されることなく、PT全員の意見、上席の見解も交えながら、
やはり上記、チェックリストで評価点をつけ、決定すると、失敗しないリスクの低減化にもつながります。

その選定の際、自社の要件を満たしてくれ、制作委託する業者として遜色ない!
と評価しても、動画仕上がりのローンチまでの一定期間、ずっと付き合っていくこととなります。
そういう意味では、ケミストリーというか、業者との相性も大事です。念のため。

◎委託契約にあたっての心得

発注業者が決定する際、次の点にも留意しましょう。

業務委託契約書・NDAの締結

我が国ではこの契約意識がまだ軽薄です。ただ弊社の経験上、何か問題にあたった際、判断基準となるのはこの取引契約書です。
さらに守秘義務契約など、自社所定の契約書を取り交わしましょう。
契約締結となると、リーガルチェックに時間がかかる場合があり、それぞれに負荷になるため、ローカルで発注書に必要事項の条件を付加し交付することも一案です。

業者の与信

できれば業者の決算書、財務諸表の提出、与信管理会社の評価、謄本入手等。
また業者Webサイト、会社案内等の広報物で企業の実態をきちんと掴んでおきます。
この逆の業者の新規クライアントの与信、というのは日常ですが、業者への与信というのは、意外と多くありません。
業績だけでなく、様々な事情で不安定な状況があると、健全な制作進行の阻害要因となります。
法人同志、安心した取引を目指します。

動画の著作権確認

「09|著作権も知っておこう」でも述べた通り、
基本的に商業動画と言えども、動画自体の著作権は動画会社に帰属します。
ただし発注の際には「著作権が誰に帰属するのか」を事前に確認しておきましょう。
発注元が有するのは、著作権ではなく「著作利用権」、つまり動画著作物を利用する権利であることに注意。
ただし案件によって、或いは業者によって契約ごとに異なるため、交渉の余地は十分あります。
動画コンテンツの利用範囲が、どこまで可能なのか確認しておくようにし、
動画完成後の運用範囲について、一定の約定を取り交わしておくことも視野に入れます。

◎社内決裁・社内プレゼン

企業によっては社内のルールで、ここまでを準備して社内決裁を上申する、という企業もあると思います。
つまり先に動画づくり計画の起案で内諾をとっておき、契約段階で予算決裁をとるというものです。
この場合、社内プレゼンもあるかもしれません。

弊社では、お客様サポートとして、業者として役員プレゼンにも参加させていただき、役員の方々へプロジェクトのご説明をさせていただいております。
ご遠慮なくお申し付けください。

まとめ

いかがでしょう?
ここまで来ると、業者選定から決定まで、なかなかドラマチックな経過になるのが、お分りいただけたと思いますし、失敗しないためには、数々の関門があるのだと思われたでしょう。

ただし大変だ!というよりも、一読されると概要がわかりますので、初めて担当になった方でも、ある程度不安が払拭されたと思います。
そんなに困難なことではないことが、おわかりいただけたでしょう。
むしろ、全て漏れなく行う、というよりは、案件の内容やバジェットの大小によって、この心得の中から取捨選択し、ピックアップして実行されるだけでも、結構失敗を未然に防止できるはずです。
また予備知識として持っておくだけでも、業者の言っていることへの理解度を高め、交渉がスムーズに行くと思います。
ぜひご参考にしてください。

社内で動画づくりのご計画が持ちあがったら、弊社へもぜひご相談ください。
では御社の素晴らしい動画が出来上がることを祈念します!